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小児眼科

こどもの目の病気には、弱視・近視・遠視・乱視・斜視や、はやり目、怪我など、いろいろなものがあります。

しかし、どうしても検査の難しさから発見が遅れがちになります。

また、3歳児検診では視力検査も項目として入っていますが、必須の検査ではないため、問診時に問題とみなされないとそのままになってしまいます。

保護者の方が日頃の生活の中で気づかないと、発見が遅くなってしまいます。

現代社会は、スマホやタブレットなど、今までとは目の環境が大きく変わっています。そのため、近視のお子さんも増え続けています。保護者としての対策しては、お子さんをまずはしっかり観察することからのスタートとなりますが、異常を感じたらまずは受診していただきたいと思います。

原田眼科の小児眼科

小児眼科では、専門の視能訓練士が時間をかけた検査をする必要があります。

小児眼科は専門の視能訓練士が毎週月曜日の午後に検査を行なっています。
患者さんの皆さんにはご負担をおかけいたしますが、大変混みあいますので、始めに眼科受診をしていただき、その後、予約を受け付けさせていただいております。

斜視・弱視についてもご相談をしてください。

小児眼科領域

近視とは
眼球は、カメラのような構造をしています。目に入ってきた光線が、角膜(黒目)や水晶体(レンズ)を通して、網膜(目の奥で光刺激を受け取る神経組織、カメラのフィルムに相当)で焦点を結び、その情報が視神経を通って脳へ伝わることにより、物体が認識されます。近視とは、眼軸長(眼球の前後方向の長さ)と角膜や水晶体の屈折力(光を集める力)が強いために、遠方からきた光線が網膜の手前で焦点を結んでしまう状態です。近くの物体を見るときにはピントが合いますが、遠くの物体はピントが合わずぼやけて見えるようになります。近視が強い人は、物を近づけて見ることになります。
近視の多くは学童期に眼軸長が過度に伸びることによる軸性近視で、眼鏡によって正常視力まで矯正可能な単純近視が多いですが、まれに病的近視に進行する例もあります。
近視の程度は、屈折度の単位であるジオプトリー(D)を用いて、弱度近視は-3.00D以下、-3.00Dを超えて-6.00D以下は中等度近視、-6.00Dを超えると強度近視と分類されています。
近視発生に関わる要因
近視の発症には、遺伝的要因(生まれつきの素質)と環境要因の両方が関与すると考えられています。アジア人には近視が多く、両親とも近視でない子どもに比べて、片親が近視の場合は2倍、両親が近視の場合には約5倍の確率で子どもも近視になりやすいと言われています。近年では近視に関連する遺伝子の解析も行われています。環境要因としては、近業(近くを長時間見ること)や屋外活動が少ないことの関与が示されています。日本だけでなくアジアの国々や米国でも小・中学生の近視が増えており、スマートフォン、ゲーム機などの普及が関係しているのではないかと言われていますが、はっきりした関係は不明です。
病的近視とは
眼軸が長く、眼球の後方部分が変形して目の奥の網膜・脈絡膜(網膜を栄養する組織)や視神経に様々な病的変化を生じ、眼鏡などで近視を矯正しても正常な視力が出ない状態となるものを、病的近視と言います。病的近視の目安は、5歳以下では-4.00Dを超える、6~8歳では-6.00Dを超える、9歳以上では-8.00Dを超える近視とされていますが、眼球の変形により病的近視を定義しようとする試みが進んでいます。成人の高度視力障害の原因として日本では4番目に多い疾患であり、様々な予防や治療の研究が進められています。

<検査と治療について>

真の近視と見かけ上の近視
真の近視ではなく、一過性に近視のように見える状態になることがあります。これは、水晶体の厚みを調節する毛様体筋が過度に緊張した状態で、水晶体が厚くなって網膜より前に焦点を結ぶので、偽(いわゆる仮性)近視とも呼ばれます。神経の病気、薬物、外斜視、長い時間近くの物を見続けた後などにみられます。
検査
毛様体筋の過緊張がある偽近視か、真の近視か、真の近視であれば程度はどの位かを詳しく調べるには、毛様体筋の働きを一時的に休止する目薬を使うなど、遠近の調節をなくして、屈折度を調べる必要があります。この目薬を入れると、しばらくの間(1~2日)はピントが合わなくなり、瞳が大きい状態が続くため眩しくなりますが、矯正する眼鏡の度数を決めるためにも大切な検査です。
治療
近視には遺伝的要因と環境的要因の両方が関係しています。眼球の成長は16歳頃まで続き、近視の進行を止めることは困難です。黒板の字が見えにくくなったら、眼鏡で矯正する必要があります。眼科医で精密検査を受けて、適切な眼鏡の処方を受けることが勧められます。 コンタクトレンズは管理が難しいのと、管理を誤ると目の病気の原因になることから、中学生から高校生などある程度の年齢に達して自己管理ができるようになってから使うのが安全です。コンタクトレンズは、高度管理医療機器に指定されており、処方やコンタクトレンズによる目の障害を避けるために眼科での定期検査が大切です。
近視の進行を抑える効果があると考えられているのは"明るい屋外で活動をすること"です。また読書など近くを見るときには正しい姿勢で30cm以上距離をとることが大切です。ゲーム機やパソコン、スマートフォンの長時間の使用が近視の進行に影響するかどうか、明確なエビデンス(証拠)はありません。しかし、近業(近くを見ること)が近視進行に関与している可能性を考慮すれば、過度に使用することは慎んだ方が良いでしょう。
現在、近視の進行を抑える特殊な眼鏡やコンタクトレンズ、目薬の研究が進んできていますが近視予防治療としてお勧めできる方法は未だ確立されていません。まず日常生活に十分注意し、使用している眼鏡が合っているかどうか、半年に1回は眼科で定期検査を受けるとよいでしょう。
定期的な検査の必要性
学童期に近視が進行しても、ほとんどのお子さんは失明原因となる病的近視に至ることはありません。最近の研究では、病的近視にまで至る患者さんは、学童期に特別な眼底所見があることが分かっており、学童近視と病的近視は異なる疾患である可能性が示唆されています。しかし念のため、強い近視のあるお子さんは、専門の施設で定期的な眼底の検査を受けることをお勧めします。
また、強度近視では、成人になると、視野(物の見える範囲)が狭くなって見にくくなる緑内障や、黄斑変性症(網膜の中心部が傷んで物がゆがんで見えたり視力が下がったりする)、網膜剥離などを起こして視力が極端に低下する危険が高まりますので、定期的な眼底の検査が必要になります。
近視の進行予防の研究
現在、近視の進行を抑えるための様々な研究が進められています。

◆低濃度アトロピン点眼による予防

アトロピン点眼は、毛様体筋の調節を麻痺させて、瞳を大きく広げる効果がある目薬で、小児の斜視や弱視の診断や治療に頻繁に使われているものです。アトロピン点眼には近視進行を抑制する強力な効果があることが判っています。しかし1%アトロピン点眼(通常の濃度)は、副作用として強い眩しさや近くを見たときぼやけて見えるため、長期に使用することは困難でした。
シンガポールの研究で、濃度を希釈した0.01%アトロピン点眼を1日1回2年間使用したところ、近視進行が抑制され、その効果は点眼を行わない場合に比べて平均50%の抑制、さらに点眼を中止した後も効果が持続することが示されました。低濃度アトロピン点眼は副作用が少なく使いやすい目薬ですが、人によって効果が異なります。現在、日本でも大学病院での研究がなされています。

以上のように、いろいろな試みや動物実験での仮説が提案されていますが、いずれも臨床でのエビデンスはありません。いずれの方法でも、その効果と安全性については、今後さらに長期的かつ大規模な臨床研究を行って確認する必要があります。
治療方法
マイオピン点眼治療
・6歳~12歳までで、軽度~中等度(-1D~-6D以下)までの学童の方が対象です。
・就寝前に1滴点眼します。
・毎月の診察・検査が必要です。2年以上の継続治療をおすすめします。
・自由診療のため、当院ではご相談に応じています。


斜視とは
物をみるとき両眼の視線が合わず目が内側や外側、上下にずれている状態です。
斜視では両眼を同時に使うことが出来ないため、弱視になったり、立体的に見え辛い目になります。

原因
斜視の原因として主に以下のようなものが考えられます。
・目の筋肉や神経などの異常
・屈折以上
・両眼視の異常
・視力不良
・原因不明・中枢性疾患

分類

斜視は眼の位置の中心からのずれにより分類されています。
・外斜視 : 外斜位、間欠性外斜視、恒常性外斜視 
・内斜視 : 乳児内斜視、調節性内斜視

間欠性外斜視 
4歳から5歳での発症が多く、斜視の中で一番多いタイプのものです。普段は両眼の視線が合っていて良い目の位置を保っていますが、疲れた時、眠い時などに片方の目が外へずれ視線が合わなくなります。1~2歳の頃に保護者の方が気付いて受診されることが多いです。成長に伴い目立たなくなる場合もありますが、外へずれる頻度が多くなったり、ずれたままの状態が続く場合には手術を行います。 
調節性内斜視 
遠視が原因で起こる内斜視です。遠視があると調節(ピントを合わせる力)して物を見ようとします。強い遠視があると調節すると同時に輻輳(物を見るために目が内側に寄る事)が起こり、内斜視になってしまいます。 
遠視が原因なので、遠視を矯正する眼鏡をかける事で目の位置が良くなります。

弱視とは
乳幼児期に目の病気をしたり、強い遠視、斜視などがあったりして視力が正常に発達していないことを弱視といいます。
遠視が原因の場合は、遠視を矯正する眼鏡をかけます。それにより網膜にピントが合った鮮明な像を脳に送ることで視機能の発達を促します。弱視では、アイパッチといって視力の良い方の目を隠し、悪い方の目を使わせるように訓練を行います。

原因
・斜視がある場合
両眼視ができないため、斜視になっている方の目を使わないようになり、ずれている方の目が弱視になる場合があります。

・遠視がある場合
遠視があると遠くも近くもはっきりと見えないため、視力が発達せず弱視になる場合があります。

・その他に
生まれつき白内障などの目の病気かある場合や、乳幼児期に眼帯を長い間行うことで視覚刺激が遮断され、視力が発達しないため弱視になります。

・おかしい目つきや見にくそうだと思ったら早めに眼科を受診しましょう
・3歳児眼科検診は必ず受けましょう
早めに発見できれば弱視も視力改善する可能性のある疾患です。